全米OPテニス2016観戦記(5)〜全米OP10倍楽しむために〜

錦織選手の準々決勝の相手はマレー、ジョコビッチと共に錦織選手の前に立ちはだかる巨大で険しい壁です。勝ち進むと必ずこの2人が待ち受け錦織選手の前進を阻みます。強靭な体幹とタフなメンタルがこの2人の共通項です。挑むたびに跳ね返されるぶ厚い壁に、諦めずに果敢に立ち向かう錦織選手には本当に頭が下がります。

そして、一昨日、錦織選手がフルセットでマレーを下しリオ五輪の雪辱も果たしました。過去1-7敗と圧倒的に分の悪い世界ランキング2位のマレーをついに破ったのです!!! シーズン後半、ウィンブルドン2度目の制覇に続き、リオでも金メダルを獲得したばかりの絶好調マレーをです。流れが幾度となくマレーに傾きながら、最後は持前の粘りで押し切りました。歴史に残る熱戦だったと思います。

番狂わせの少ない全米OPではQFあたりからシード選手同士がぶつかり合うので、トーナメントの後半に注目が集まりがちですが、全米OPテニスの醍醐味のひとつはR1〜R2から選手が勝ち上がっていくプロセスを観ることにあります。全米OPテニスを10倍楽しむためには、お目当ての錦織選手だけではなく有力選手の試合ぶりも同時にウオッチする必要があります。


大会4日目の8/31はR2に入り、第5シードのラオニッチ選手(写真上)の試合を観戦することに。対戦相手はライアン・ハリソン(米国)、地元ニューヨーカーの大声援が後押ししたのか、3-1でラオニッチを下しました。家族連れのグループが時折立ち上がって息の合った声援を送る姿に会場は大盛り上がりでした。錦織選手より上位のシード選手がR2で消えた格好です。


会場ではシングルスだけではなくダブルスやジュニアの試合も行われています。そして、TVではめったに放映されない練習コートでの各選手の調整ぶりをじかに見られるのも、現地観戦の楽しみのひとつです。強烈なシングルバックハンドを武器とするワウリンカ(写真下)や女子世界ランキング1位のセリーナ.ウィリアムズの練習風景を観客席やネット裏から至近距離で捉えることができました。会場には練習スケジュール(写真右上)も表示されているので、お目当ての試合のスケジュールの合間を縫って、練習コートへ足を運んでみるのも一興です。ただ、スケジュールが突然変更されることもあるのでご注意あれ。

全米OPテニスはWOWOWが独占中継しています。奈良くるみ選手の試合後、杉山愛さんがインタビューする場面に遭遇しました。アメリカにはテニスの専門チャンネルもあり、世界中のメディアが会場に集結します。一流選手の素晴らしいプレーに呼応して喝采を送る観客の興奮と会場を包む熱気を肌で感じた全米OPテニス観戦でした。