ポール・スミス展-Paul Smith is So Cool-

週末、上野の森美術館で開催中(〜8/23)の「ポール・スミス展HELLO,MY NAME IS PAUL SMITH」を覗いてきました。ロンドンのデザインミュージアムで好評を博したというポール・スミス展(2013年)がヨーロッパ各地を巡回して、とうとう東京にやってきたからです。クールという言葉がぴったりの展覧会でした。


特に斬新だったのが、ポール自身の頭のなかを再現するかのような映像インスタレーションでした。三方に所狭しと設置されたディスプレイに次々と色鮮やかな映像シーンが映し出されます。世界的なファッションブランドを生み出したポール・スミスの視覚に入り込んだような錯覚に囚われます。彼の豊かな発想力の源泉を確かめる上で格好なインスタでした。"I CARRY A CAMERA WITH ME EVERYDAY"というキャプションを読んで、アマチュア写真家だった父がポールに買い与えたコダック・レチナとの出会いが写真への関心を芽生えるきっかけになったことを知りました。彼は、スマホで日常シーンを次々と切り取っていく現代人のライフスタイルを先取りしていたことになります。


いつの頃からでしょうか、財布や名刺入れは視認性に優れたポール・スミスのマルチストライプのモノを愛用しています。先のインスタのなかにカラフルな選択ばさみや鞄の映像がありましたが、さりげない日常の光景からインスピレーションを得て多様な商品デザインに活かしていることがよく分かります。


おなじみミニクーパーからevianのボトルデザインや装丁に至るまで、その守備範囲の広さは瞠目に値します。また、多種多様な商品が陳列される世界各地の店舗デザインにこだわるポール・スミスの姿勢にも共感させられました。"I HATE SHOPS THAT ALL LOOK THE SAME - I LOVE INFIVIDUALITY"と語るポールは、出店する地域や伝統を尊重して唯一無二の店舗デザインを考案します。京都三条店が町屋を改造して拵えたように。


会場入口右手に設置されたアングルポイズのランプ下でスマホ撮影した写真をハッシュタグをつけて自分のインスタかTWITTERアカウントに投稿すると、会場出口でフォトカードをプリントアウトできます。最後まで来館者をワクワクさせてくれる素敵な展覧会でした。