当尾の石仏をめぐる旅(2)

岩船寺門前を左へ折れて緩やかな坂道を上るコースを選択、山里の風情はさながら春の大和路です。岩船寺を起点にするとコース全体が下り坂になっているので楽かも知れません。石仏は山道に点在しているので、当尾エリアマップを見ながら順に巡礼することに。

最初に出会うのが三体地蔵、みろくの辻までやって来ると弥勒磨崖仏が現れます。まるで道祖神のような佇まいです。緩やかな起伏の山里を先へと進むと、当尾で最も親しまれているという阿弥陀三尊磨崖仏、通称「わらい仏」と遭遇します。花崗岩にはっきりと「永仁七年二月十五日願主岩船寺住僧・・・大工末行」と銘文が刻まれているので、鎌倉時代のものだと分かります。左手にはかわいらしい「ねむり仏」が土に埋まるように頭だけ出して鎮座しています。磐座や巨石信仰に似た自然崇拝の表れでしょうか。

少しコースを右手に逸れて谷底まで降りると一願不動を拝めます。こちらも銘が残っていて弘安10(1287)年の作だと分かります。

石仏を訪ねながらのどかな山里の風景を眺めていると自然と心が癒されました。遠くに山並みを仰いだり山道の散り椿を踏みしめながら歩を進めると、浄瑠璃寺はもうすぐです。