春宵一刻値千金〜2016年春の京都〜

桜の季節がやってくると、無性に京都を訪ねたくなります。サライ4月号の表紙の一節<春の京都は値千金>とは上手いキャッチフレーズではありませんか。そこかしこに桜の名所がある京都の春はまさに値千金です。今年も3月最終週に京都へ出掛けて、春の息吹を目一杯受けとめてきました。

蘇軾の七言絶句「春夜」には「春宵一刻値千金」とあります。木屋町通りや哲学の道のライトアップされた夜桜を眺めていると、これ以上の幸せな瞬間はないと思えてきます。滝廉太郎の有名な「花」(武島羽衣作詞)も最後で千金の眺めと謡っています。

錦おりなす長堤(ちょうてい)に
くるればのぼるおぼろ月
げに一刻も千金の
ながめを何にたとふべき

京都市内で撮った桜を幾つか紹介しながら、紙上観桜会と参りましょう。1枚目は本法寺境内前、桜と戯れるメジロです。

2枚目は祇園新橋の「かんかくに碑」、桜の季節になると新婚さんを何組もこのあたりで見かけます。舞妓さんが「かくかくに碑」に集まる日は大変な賑わいとなります。

3枚目は琵琶湖疎水分線に沿うように整備された散策路「哲学の道」の桜、どの桜と特定こそできませんが、銀閣寺そばに居宅を構えていた日本画橋本関雪が1921(大正10)年に300本の桜を植樹したことから、関雪桜と呼ばれています。