湿原は生物多様性の宝庫と云って過言ではありません。ラムサール条約(1975年12月発効)に基づき条約湿地とされた日本の湿原は、現在46か所存在します。尾瀬もそのひとつで2005年に条約湿地に選定されています。
尾瀬沼ビジターセンターのレクチャーで知った尾瀬豆知識も動員して、今日は尾瀬の理解を深めるべく尾瀬に纏わる様々な情報を整理してみようと思います。
1.尾瀬の広域性
群馬県・福島県・新潟県・栃木県の4県に跨っています。
2.尾瀬国立公園
日光国立公園から2007年8月30日にスピンオフして誕生した29番目の国立公園です。また、特別天然記念物にも指定されています。また、尾瀬の景観の中心をなす尾瀬ヶ原や尾瀬沼一帯は特別保護地区に指定されていて、動植物の採取はもちろん、落ちた枝や石ころを持ち帰ることも許されません。
3. ゴミの持ち帰り運動発祥の地
登山者の捨てるゴミで自然破壊されるのを危惧した地域住民や関係省庁・自治体の尽力で1972年からゴミ持ち帰り運動がスタートしました。ゴミ箱をなくしてしまうというのは逆転の発想ですね。
4. 高層湿原
尾瀬は世界有数の高層湿原です。泥炭層は1年でたった1ミリしか形成されません。木道から足を踏み外して湿地を荒らすのは恐るべき暴挙なのです。
5. 歩荷(ぼっか)さん
背中に70〜80キロ余りの荷物(食料品や日常生活品)を担いで尾瀬の山小屋と起点となるスポット(鳩待峠等)を往来します。ヘリコプターも使われるようですが、尾瀬には欠かせない存在です。
6. 尾瀬の土地所有者
東京電力は、尾瀬国立公園全体の約4割、特別保護地区の約7割の土地を所有する大地主さんです。東電は木道の整備も手掛けるので、木道を歩くと東電のロゴをあしらった角材が目につきますね。
7. 木道の材料
国産のカラマツが使われます。全長65キロの木道の約1/3は東電が管理しています。過去、木材以外の材料も試されたようですが、自然への影響を最小限にするためには折れにくく水にも強い国産カラマツが最適なのだそうです。尾瀬を訪れる観光客は年間数十万にも及ぶため、10年に一度の架け替えが必要になります。尾瀬の自然環境維持には膨大なコストがかかっているのです。
8.檜枝岐村
<ひのえまたむら>と読みます。尾瀬沼の宿「尾瀬沼ヒュッテ」は桧枝岐村営の施設です。村の面積の98%は山林だそうで、人口密度は日本一低く、総人口はなんと608人(2015/5)だとか。東北で最も標高の高い山燧ケ岳は桧枝岐村に属します。
尾瀬をめぐるよもやま話の種は尽きませんので、別の機会に取り上げてみようと思います。尾瀬のトレッキングルートを知りたい方は、山渓のムック『尾瀬ブック2010』が便利です。
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