秋の尾瀬便り〜草紅葉に染まる尾瀬ケ原〜

秋分の日の昨日、払暁4時に自宅を出発して関越自動車道経由(沼田ICアウト)で尾瀬に向かいました。紅葉の始まった尾瀬ケ原を半日かけてハイキングするためです。尾瀬といえば、水芭蕉(5月下旬〜6月下旬)やニッコウキスゲ(7月)を思い浮かべる人が多いかも知れませんが、9月下旬の草紅葉(くさもみじ)も実に見応えがあります。

片道180㎞を走破して6:40に尾瀬第一駐車場(戸倉)に到着、乗合タクシー(大人930円)に乗り換えて起点の鳩待峠に移動しました。幸い天候は晴れ、気温は7〜8度でひんやりとした空気があたりを支配しています。軽い準備体操をして7:20過ぎに鳩待峠を出発、この日は定番の尾瀬ケ原コースを歩くことに。見晴で折り返したのでルートはこんな感じです。

尾瀬ケ原コース)
鳩待峠(起点)〜(1時間)〜山の鼻〜(1時間20分)〜竜宮十字路〜(40分)〜見晴(弥四郎小屋)〜(1時間20分)〜ヨッピ吊り橋〜(1時間30分)〜山の鼻〜(1時間10分)〜鳩待峠(終点)

日本百名山に名を連ねる至仏山(2228m)と燧ケ岳(2356m)に囲まれた尾瀬ケ原は、鮮やかな「草紅葉」に染まり息を呑む美しさでした。見渡すかぎりの湿原の紅葉は、自然が織りなす奇蹟のパノラマという他ありません。

夏場ほど人出が多くないせいか、立ち止まって写真を撮ったり、振り返って至仏山を仰ぎ見たり観察テラスに腰を下して小休止しながら、歩を進めました。木道からは1800余りあると云われる池塘(ちとう)が真近で見ることができます。池塘とは湿原の泥炭層にできる池沼のことですが、水面に浮かぶヒツジグサ(未の刻に白い花を咲かせるそうです)も黄葉し、恰も華麗なモザイクを見るようです。晴天のおかげで池塘に映った<さかさ燧>も写真に収めてきました。

往復20数キロの道中、草紅葉の絶景を満喫するだけではなくさまざまな尾瀬の生き物と出会うことができました。尾瀬の花の最終ランナーと呼ばれるエゾリンドウやトリカブト、清流に集まる岩魚、池塘に潜むイモリ、湿原を悠々と舞うオニヤンマなどなど。


1キロおきくらいでしょうか、木道の傍らに小さな鐘がぶら下げてありました。早朝や夕方にツキノワグマが目撃されるので、クマ除けにとビジターに鐘を鳴らすよう促しているというわけです。この時期は人影も疎らなのでクマが茂みから近づいてきても不思議ではありません。用心するに越したことはありまぜん。早速、風鈴のような美しい音色を響かせてくれるmont bellのキーカラビナ ベルナスカン 5Mを買ってザックに装着しておきました。

勾配のきつい最後のスロープを駆け上がると、終点鳩待峠でした。時計の針は15:50(延べ8時間30分・歩数にして35643歩)、心配していた最終下山時刻の17:10まで、まだ1時間余り残していました。日帰り強行軍だったため、アフター尾瀬の温泉は次回持ち越しとなりました。すっかり尾瀬に魅了されて、来シーズンの尾瀬行が楽しみでなりません。