NHKラジオ第2「英語で読む村上春樹」が面白い

英訳された村上春樹作品をラジオの朗読で楽しもうという企画が昨年スタートし、2014年度前半は『踊る小人』が進行中で、後半には『ト二―滝谷』が取り上げられるそうです。

ラジオ番組をインターネットで聞けることを皆さんご存じでしょうか。2011年に民放ラジオがradiko(ラジコ)で聞けるようになり、日本放送協会も同年9月からNHKネットラジオらじる★らじる」を通じて様々な語学番組を配信しています。テレビのように映像がない分、耳で集中して聞こうと身構えますので外国語習得にはうってつけといえます。

毎週日曜日23;00から30分間の放送で、テキストに従って英文が朗読され、次いで日本語原文が朗読されます。翻訳者は村上春樹作品英訳で知られる名手Jay Robin元ハーバード大学教授、放送後半に案内役の新元先生の試訳と比較するコーナーがあって、原文の醸し出す雰囲気を翻訳者がどのように英文に再構成していったかが分かります。神戸で外国船員が古書店に持ち込んだペーパーバックで英語に親しんだという村上春樹、その作風が巧みに英文に置き換えられていく作業を想像しながら朗読を聞くと、村上作品の新たな魅力を知ることになります。

以下、一部、天候を描写したシーンを引用しておきます(2014年7月13日放送分)。不吉な気配がルービン訳ではストレートに伝わってきますね。

(原文)
空はどんよりと曇り、暗い色の雲が西に流されていた。いつ雨が降り出しても不思議はないような天気だ。
(直訳に近い試訳)
The sky was gray with clouds. The dark clouds were moving westward. It could start to rain anytime.
(ルービン訳)
The sky was grad and overcast, and black clouds were drifting westward. It might have begun to rain at any time.

The Elephant Vanishes

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