ニホンウナギ危うし

29日は土用の丑の日でした。あいにく鰻屋に足を運ぶことはできませんでしたが、梅雨明け後に自宅で何度か蒲焼きを食しています。蒸したウナギを炭火で焼き上げる職人さんの手練の味には到底及びませんが、家庭で食べるびっくりうな丼もなかなかのものです。鰻屋の店内に漂う香ばしい匂いだけは家庭で再現というわけにはいきませんが・・・・

鰻に目がないブロガーにとって、ニホンウナギ国際自然保護連合から(IUCN)から絶滅危惧種の指定を受けたという春先の報道は心胆寒からしむるに十分でした。クジラのように次第に食卓から姿を消していく可能性があるのかも知れません。

水産庁によれば、この10年でニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の漁獲量は1/5に減り、価格は15.5倍(1キロ248万円)に跳ね上がったそうです。スーパーのちらしに掲載されるウナギの長焼き一尾の値段が2000円を超えるのも無理はありません。一方で、1500円前後の安さを売り物にするウナギも流通しているようです。

この価格差にはからくりがあると北里大学講師の吉永龍起氏が指摘しています。スーパーに出回るウナギのDNAを解析すると、ニホンウナギ以外の<異種ウナギ>が5種確認されたそうです。稚魚に至っては8種だとか。

ただでさえ謎の多いウナギの正体がますます分からなくなってきました。消費者には口にする食べ物の出所を知る権利があります。中国産などもってのほかです。これからも食べ続けたいのはニホンウナギ、ウナギ科ウナギ属ニホンウナギなのです。

江戸時代、「今日は土用の丑の日うなぎ召しませ」というキャッチコピーを考案して、夏枯れで苦しんでいた鰻屋を救ったのは平賀源内。江戸時代から続く日本の伝統食文化を守るためにも、マグロのようにコマーシャルベースに乗る完全養殖を早期に実現して欲しいものです。

写真は稚魚になる前の仔魚レプトケファルス(葉形幼生、Leptocephalus)です。柳の葉のような形をしていますね。