帝国ホテルプラザの小粋な企画〜ロベール・ドアノー写真展〜

帝国ホテルのインペリアルタワー内にある帝国ホテルプラザでロベール・ドアノー写真展が開催されています。代表作は1950年作の<パリ市庁舎の前のキス>、ご存じの方も多いかと思います。

といっても、特別なギャラリースペースが設けられているわけではありません。約40点の作品は、同プラザの各フロアーの壁やショーケースに飾られています。エスカレーターでフロアを移動したりショーウィンドーの前を通り過ぎようとすると、自然と作品に目がとまるというわけです。

ドアノーが得意とした被写体は、ありふれた日常生活のひとこま。ところが、彼が切り取ったパリの町並みや市井の人々の暮しは、これしかないという決定的瞬間をとらえているのです。お洒落なショップが居並ぶ回廊は、そんな作品の展示スペースにはうってつけでした。

特に印象に残ったのは<ギャラリー・ロミのウィンドー>の三連作、後姿の裸婦画をショーウィンドー越しに眺める三組〜眼鏡をかけたキャリアウーマン?・若い男性・中年夫婦〜を画廊側から撮影した作品です。原題はUn regard oblique(斜めの視線)、撮影された1948年当時は少し人目を憚る画題だったのかも知れません。チラリと盗み見するような表情が実に印象的でした。

約40点の作品選択も素晴らしいと思いました。会期は9/24までです。