謹賀新年:イノベーションについて考える

元日の昨日はまるで春のような陽気、持参したアウターは結局使わず仕舞い。八幡様と深大寺にお参りしたあと井の頭公園周辺を散策、帰宅して万歩計を見ると16000を優に超えていました。長男は論文執筆、帰省中の次男は6日に内臓学の試験があるとかで初詣にも同行せず終日テキストとにらめっこ。初詣の帰路、初めて入ったコメダ珈琲店でたっぷりブレンドを賞味(クオリティは頂けませんでしたが店内は大賑わい)、帰宅と同時に平日モードに切り替わった元日となりました。

普段の3倍はあろうかという新聞2紙に速攻で目を通し、元旦は2014年の計に思いを巡らせました。目に留ったのは米HBSクリステンセン教授へのインタビュー記事でした。イノベーションの教祖と呼ばれる教授は「日本の大企業が新たな成長の機会をつくるには、シンプルで誰もが買える製品を開発するという原点に立ち戻るべきだ」と云います。全く同感です。

イノベーションは一般に技術革新のことを指すと説明されますが、自分はライフスタイルに劇的変化をもたらすような価値創造をイノベーションと考えています。過去50年を振り返ると、米国発のイノベーションが我々のライフスタイルに多大な恩恵をもたらしたことが分かります。代表的なイノベーションを挙げるとすればこんな感じでしょうか。

1969年インターネット
1970年携帯電話
1971年電子メール
1973年パソコン
1993年GPS
1995年ウインドウズ95
1998年Google
2007年iPhone

1979年にエズラ・ヴォーゲル氏が著した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の栄光は今や見る影もありません。先に掲げた米国発イノベーションツールなくして、もはや日常生活は成り立ちません。こうしてブログ更新できるのも偉大なイノベーションのお蔭に他なりません。産業革命以来ともいうべき技術革新に遭遇できた我々は、その幸運に心底感謝すべきなのかも知れません。しかも、日本人はその間、戦争とは無縁でいられたのですから。

電車のなかで片時もスマホを手放さない若者が大多数の今、一方でイノベーションのせいで喪われてしまった美徳や価値観を却っていとおしく思うというアンビバレントな感情が時として沸き起こってきます。昨夜は、録画してあった高畑勲監督の『おもいでぽろぽろ』を観ました。自分の小学生時代と時代背景が重なるせいか、主人公タエ子の回想シーンが実に印象的でした。タエ子は最終的に都会のOLライフを捨てるという決断を下します。

週明けの6日から、厖大な情報を追いかける毎日が再開します。もはや手放せそうもない現在のライフスタイルにそこそこ満足していながら、イノベーションの代償を取り戻そうとするもうひとりの自分がいることに否応なく気付かされます。そんなとりとめもないことを考えながら2014年がスタートしました。

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

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