2013年IPOを振り返る

12月中盤を迎える今週からIPOラッシュが始まります。2013年に新規上場が決まったのは53社、そのうち10社が17日から24日という短期間に上場する超過密スケジュール。昨年末は、12月19日に上場したユーグレナが連日値を飛ばして、セカンダリーを追い切れず少し悔しい思いをした記憶が残っています。さて、明日から余すところ10営業日、どんな展開になるのでしょうか。赤字に転落したミクシィが連日ストップ安となり、ネット関連銘柄が連れ安となっています。

歳末過密スケジュールとなった主たる要因は、上場株式等の配当等並びに譲渡所得等に係る軽減税率(10%)が、適用期限である平成25年末を以て廃止されるからだと云われています。上場予備軍オーナーの駆け込み申請が相次ぎ年末に上場承認が重なったとはいえ、もう少し時期的に分散して欲しかったというのが投資家の本音ではないでしょうか。先週は、平時であればもう少し高いところで初値が決まったはずの銘柄が、低い水準で寄り付いたりしています。セカンダリー組には一見朗報かも知れませんが、長年インキュベーターを務めてきたVCにしてみれば安値売りするわけにもいきません。結果、初値形成直後から株価が急落したり、乱高下を繰り返すという展開が恒常化しています。

ネット証券ではBBにあたって前受金を徴収されるので、短期間に上場する企業が重なると個人投資家は資金繰りに四苦八苦することになります。投資家の資金繰りもさることながら、より深刻なのは、上場審査が疎かになってやしないかという疑念が生じる点です。3年前、マザーズ上場の半導体製造のエフオーアイが有価証券届出書の虚偽記載で上場廃止になった記憶は今も覚めやらぬです。確か、売上が100億円超水増しされていたと記憶しています。今年の流行語大賞受賞に繋がったTVドラマ『半沢直樹』の「倍返し」も結構ですが、「粉飾決算」という本来のキーワードにも注目して欲しいものです。

従って、1年を通して上場スケジュールが平準化されることが望ましいと考えています。そして、負け知らずのIPO市場が勝ったり負けたりの展開になって、目論見書に丁寧に目を通して投資判断をした投資家が相応の見返りを得られるような市場へと変容して欲しいものです。

いよいよ師走ラリー、19日に上場する足利HLDGSに注目しています。店頭は避けネットに絞って厚めにBBしましたが、選外で少々凹んでいます。再上場の地銀で大型の資金吸収とあって個人投資家には敬遠されたようですが、公開価格が420円と穏当な水準で決まったこともあり、機関が率先して玉を攫っていったように感じています。初値割れはないでしょう。この見立てが正しければ、大方の個人投資家は経験則に溺れて誤った投資判断をしたことになります。

経験から学んだ愚者は歴史に学ぶ賢者に敗北してしまうのでしょうか。今週は市場参加者として積極的に売買するつもりです。「休むも相場なり」、外野席から成り行きを見守るという選択肢もありますが、とりあえずリスクオンで臨みます。