Andy Murray on Twitter

7月7日(日本時間6日深夜)、アンディ・マレーが世界ランキング1位のジョコビッチを相手に終始善戦、英国人として77年ぶりにウィンブルドン男子シングルスを制しました。

中学生だった頃、フレッド・ペリーというブランドのポロシャツが流行って自分も好んで着たものですが、77年前に聖地ウィンブルドンに優勝杯をもたらしたのがフレッド・ペリーという名のテニス選手だったことを数年前まで知りませんでした。近年、フレッド・ペリー以来という形容でマレーの活躍が報じられるようになって、フレッド・ぺりーの名が知れわたるようになったように思います。その間、皮肉にもロンドン金融市場の殷賑と引き換えに地元英国勢が没落するという状況は「ウィンブルドン現象」と呼ばれるようになりました。ある意味不名誉なこの譬えを、大多数の英国人が内心快く思っていなかったことは間違いないでしょう。

勝戦の結果だけを見れば3-0でマレーの圧勝に見えますが、3セット目は文字通りの死闘でした。2セット目まで精彩を欠いていたジョコビッチのプレーが本来の調子を取り戻し、マレーの行く手を阻みます。ラリーが長引くとジョコビッチは得意のドロップショットを繰り出してきて挑戦者を苦しめました。疲労の極のなかマレーはネット際まで走ってこのドロップショットを再三拾い、4度目のチャンピオンシップポイントでジョコビッチを下しました。

好プレーには惜しみない拍手を送る紳士の国の住人も、この試合にかぎっては冷静ではいられなかったのでしょう。マレーを応援する声は場外のマウントからも聞こえてきます。昨年、マレーは決勝に進みながら敗者となって、”I'm getting closer”という言葉を残して聖地を去っています。そして今年も地元の期待に応え決勝戦まで勝ち進んだマレーをふたたび聖地奪還を期待する地元の大声援と77年ぶりという「時」の重圧が襲います。

形容しがたいプレッシャーのなかで見事勝者となったアンディー・マレーを心底讃えたいと思います。"can't believe what's just happened !!!!!!"、マレーがツイッターに残した言葉は勝利の瞬間の偽らざる気持ちでした。

(余談)翌朝の新聞各紙はマリー優勝と報じていますが、決勝戦をライブ報道したNHKはマレーと呼んでいました。Andy Murrayはアンディ・マリーではなくアンディ・マレーの方が英語の発音に忠実なように思うのですが・・・