新歌舞伎座で見たい演目

いよいよ4/2から新歌舞伎座(五代目)の柿葺落興行が始まります。昨日から松竹歌舞伎会の先行予約が始まったので、4月興行第三部のチケットを手配しました。1時間余り電話もネットも繋がらずヤキモキさせられましたが、何とかチケットを手に入れることができました。

歌舞伎ファンが新歌舞伎座で見たい演目1位は『勧進帳』、2位は『助六』、以下『京鹿子娘道成寺』、『白浪五人男』、『義経千本桜』と続くそうです。

4月興行第三部の演目は『盛綱陣屋』と『勧進帳』です。闘病中でなければ、十二代目市川團十郎さんが『勧進帳』の弁慶役を、息子の海老蔵さんが関守の富樫左衛門を演じることになっていたかも知れません。松竹は、病気平癒を期待して6月興行には『助六由縁江戸桜』を当て、團十郎海老蔵の親子共演を実現する予定でした。旧歌舞伎座の最後の演目が助六でしたから、團十郎さんの復帰が早ければ、4月興行が助六という可能性もあったのかも知れません。

歌舞伎界は、勘三郎さんと團十郎さんという大名跡を相次いで失い、名状し難い喪失感に苛まれているように見えます。歴史は繰り返すと言いますが、先代歌舞伎座が工事中だった1949年にも、七代目松本幸四郎、七代目沢村宗十郎、六代目尾上菊五郎が相次いで亡くなっているそうです。この時も歌舞伎界の危機と騒がれましたが、初代中村吉右衛門をはじめ若手の役者さんが舞台を盛り立て人気を取り戻していったということです。

400年という時を刻み芸の継承に励んできた歌舞伎界にとって、二人の金看板の喪失は大きな試練には違いありません。昼夜三部制が3ヶ月続く柿葺落興行では代役を立てるのも容易ではないそうです。しかし、幼いときから精進してきた後進役者にとってはチャンス到来のはずです。伝統は先達後進が切磋琢磨するなかで育まれるもの、一観客として新歌舞伎座の幕開けと隆盛を見守りたい思っています。