2012年回顧(投資篇)

大納会も済んだところで、2012年のマーケットを振り返ってみることにします。今年の株式市場は、相場格言通り「辰巳天井」にふさわしい上げっぷりでした。終わってみれば、日経平均は年初から23%上昇、上昇率は活況だった2005年の40%に次ぐ水準でした。長らく増資を手控えていたJ-REITも相次いで増資に踏み切り、市場参入を果たしたIPO企業は46社を数えます(前年36社)。市場のリスク許容度は大幅に改善したと云っていいでしょう。

たらればですが、年初に日経平均連動のETFを買って放置できた人が勝ち組ということになります。ただ、長期低落の相場環境が続いていただけに、積極的にスイッチを切り替えられた人は少数派ではなかったかと思います。個人投資家に人気のさわかみ投信の運用状況を確認してみると、年初10,413だった基準価額は11,601まで回復していますが、上昇率は11%程度にとどまりベンチマークには遠く及びません。金融・不動産銘柄がポートフォリオに組み込まれていないことが災いした格好です。数年来の株式投資の含み損が縮小したことは確かですが、投資収益が拡大したという実感はまだまだ希薄な印象です。

脱デフレと円高是正を政権公約に掲げて自民党が政権復帰したことが、歳末相場活況の起爆剤だったことは間違いありません。円安基調に振れた為替相場が株式相場を牽引するという構図でした。3月を控え、輸出関連企業の決算見通しに明るい兆しが見えてくるようであれば、この勢いはしばらく持続すると見て良さそうです。

来年4月の白川日銀総裁の任期満了に伴い、誰が後任の総裁に就任するかも注目されます。日銀には、財政規律を維持しながら政府が掲げるインフレターゲット目標を実現するという難題が突き付けられているわけで、後任総裁はかつてない重責を担うことになります。

大胆な金融緩和と財政出動円高・デフレ脱却を目指すアベノミクス、船出は上々でしたが、正念場はこれからです。来年には、破綻しかけている年金財政を補完すという意味においても、円安基調が定着し金利水準が是正されることを強く期待しています。