確率に関する思い込みと勘違い

最近、とあるサイトに次のような書き込みがあって、その筆者が書き込みを読んだ複数の閲覧者から気の毒なくらい罵倒されるという出来事がありました。

前後の脈絡がはっきりしないと分かりにくいので少し背景について補足しておきます。書込み主は、某証券会社が募集した個人向け社債(人気銘柄だけに抽選制になっています)に夫婦で応募し揃って外れたこと(おまけに過去も応募しているのに当たったことがない)を愚痴っていると思ってみて下さい。

「毎回当選率は20%前後はあるみたいだ。ということは5人に1人の確率。私は嫁さんと二人で申し込みをしているから当選率は2倍の40%、5人に2人の確率にアップしているハズなのに揃いもそろって全敗とはどういうわけだ? もう避けて通ってるとしか思えなくなったよ。」

どこが可笑しいのかと思われる方はもう少し考えてみて下さい。自分が高校時代には確率は数IIIの分野(現在は数IA)だったように記憶しています。中高年の皆さんで確率の基礎を教わらずに卒業してしまった方はひよっとすると書込み主と同じような勘違いをなさっているのかも知れません。

正解は36%です。簡単な四則演算1-(1-0,20)X(1-0.20)で解は求められます。社債に応募した夫婦が揃って外れてしまう確率を計算するというわけです。「投資から手を引きなさい」とまで酷評される筋合いはありませんが、financial literacyの一部であることは間違いありません。日常生活において少なからず抽選という場面に遭遇する以上、確率論の基礎くらい正しく理解しておきたいものです。

細野真宏の確率が本当によくわかる本 (細野真宏の数学が よくわかる本)

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