英バークレイズによるLibor不正操作

英バークレイズのCEOがLibor不正操作の責任を問われ辞任に追い込まれました。破綻したリーマンの北米事業や資本市場業務を買収しバークレイズの投資銀行部門をリーグテーブルのトップクラスに押し上げたボブ・ダイヤモンド氏も含め、経営トップが不正操作に関与していたとすれば悪質極まりない金融犯罪行為です。

LIBORはロンドン市場における資金取引の銀行間平均貸し手金利のことで、通貨や期間に応じて毎日午前11時に公表されます。USDであればレファレンスバンク16行が金利を呈示し、上下数行を除いて平均値が算出されます(BBA Libor)。一行が不正を働いても容易に操作できないような仕組みにはなっていますが、どうやら複数のマネーセンターバンクが不正に加担していたようです。邦銀も含めて以前からこうした不正疑惑はあったわけですが、他行に飛び火するようであれば信用力低下が著しい欧米金融機関にとって泣きっ面に蜂ということになりかねません。

バークレイズには収益を嵩上げするために実際のLiborより低い金利を同行のレファレンス金利として呈示していた疑いが持たれています。粉飾決算が目的だとすれば株主や債権者からも責任追及されることになります。

今や、Liborは単なる貸出レートの指標ではなくスワップデリバティブ取引においても欠かせない360兆ドル相当の金利ベンチマークになっているだけに、市場に与える影響は量り知れません。今後の展開次第では金融市場の新たな火種になるでしょう。市場を欺く取引に対するペナルティが軽すぎるのも要因のひとつです。信頼回復に向けて公正な市場確立のためのルール作りが急がれます。