トレンチコートの老舗アクアスキュータムの経営破綻

今朝、ブルームバーグで英アクアスキュータムが経営破綻したことを知りました。レナウン傘下とばかり思っていたら、2009年に英百貨店のデベンハムズがレナウンから買収していたのですね。ライバルバーバリーがアジアを主戦場にブラックレーベルやブルーレーベルを投入し、男女問わず二十代・三十代向けにファッション戦略を展開し成功したのとは明暗を分けた格好です。

トレンチコートの代名詞と云えば、バーバリーアクアスキュータム、流行り廃りとは無関係な定番コートが大好きでした。年月を重ねるに従って風格が生まれ愛着が増すのも英国製トレンチの魅力です。社会人になったばかりの頃、made in Englandのトレンチコートに憧れ、大枚はたいてバーバリーギャバジンコートを買ったことを懐かしく思い出します。初代トレンチは襟裏が擦り切れるまで着込んだので、現在は二代目ですがワードローブには2着揃えています。

そもそも、トレンチとは塹壕のことです。アクアスキュータムのコートはクリミア戦争当時英将校用に採用され。バーバリーも第一次世界大時に英国陸海軍の正規軍用服に採用され、ロイヤルワラントも受けています。トレンチコートおなじみのD字リングは元々は手榴弾や水筒をぶらさげるための装備だったのです。シンプルなデザインに加え雨風を凌ぐ耐久性(撥水性や保湿性)という点でトレンチコートは男の戦闘服そのものです。

ウールのコートに比べて耐寒性の点で見劣りはしますが、飾り気のないシンプルなデザインは背広との相性抜群です。ビジネスシーンではこれからもトレンチコートは不朽のアイテムであり続けるでしょう。アクアスキュータムのクラブチェックも捨て難く一度は袖を通してみたいので、願わくば日本勢のスポンサーの下で是が非でも同社には再建して欲しいものです。