関西の奥座敷、有馬温泉を訪ねて

この春先、初めて有馬温泉を訪れる機会がありました。住所地は神戸市北区、中国自動車道・西宮山口JCTから車で10分足らず、京阪からのアクセスの良さが大きな魅力です。東京-箱根に比べて頗る便利、関西の奥座敷と呼ばれるだけのことはあります。

日本三名泉(有馬・草津下呂)と三古泉(有馬・白浜・道後)に名を連ねる有馬温泉、評判に違わず身体も心も温まる実にいい温泉でした。そして何より、太閤通から入り組んだ路地伝いに拡がる温泉郷の風情が気に入りました。ゆるやかな勾配の坂道に沿って、個性溢れるお店が軒を連ねています。この地で湧く炭酸水を利用して名物<炭酸煎餅>を作る老舗やアンティークなカフェの佇まいに惹かれました。7/1からは路地裏アートプロジェクトが開催されるそうです。

その昔、太閤秀吉が度々湯治に訪れたことから、街の中心には太閤橋やねね橋など秀吉ゆかりのランドマークが点在しています。関東屈指の箱根町湯本の温泉街が往来の激しい幹線道路沿いに商店街が広がるのとは対照的に、のんびりとした街歩きが楽しめます。日帰り湯「金の湯」(入浴料は650円也)にこそ浸かりませんでしたが、太閤の足湯でひと休みさせて頂きました。豊中から訪れていたちびっ子たちと横一列に並んでしばらく金泉(含鉄ナトリウム塩化物強塩泉で赤褐色の湯のことです)に足を浸けていると、長旅の疲れがすっかり吹き飛びました。

名声に甘んじることなく、工夫を凝らして町づくりに取り組む有馬温泉郷の人々には心から敬意を表したいと思います。地方では衰退をたどる温泉街が多いなか、今も威光を放つ有馬温泉は不断の努力の甲斐あって別格なのでしょう。

昨年開業したばかりの有馬離宮に一晩泊まりました。老舗温泉宿ではないため湯元から金泉を引けないと聞いていたので温泉自体に期待はしていませんでしたが、汲み上げてきた金泉の湯船もあってそれなりに楽しめました。バスローブを着たままSPA専用エレベーターで直接浴場に行けるため、滞在中に4度も湯に浸かってしまいました。有馬温泉ならば長旅を厭わず再度訪れようと思います。