学芸員資格講座余話(1)

新聞紙上においてひと夏で学芸員資格が取得できることを知り、先月から早稲田大学に通い始め先週ようやく受講を終了しました。一昨日は夜なべして「博物館のホームページ考察」というテーマでレポートを仕上げたところです。もう1本レポートを仕上げないといけないのですが山場は超えたと云っていいでしょう。現在、学芸員資格取得に必要な単位数は8科目12単位、来年4月からは改正博物館法施行規則が施行されて必要単位数は9科目19単位に変更されます。自分も含めて当該制度変更に背中を押されて本年度の受講に踏み切った人も多いのではないでしょうか。受講期間も終了し一段落したところで、「うりぼう」ブログでは数回に分けて学芸員資格講座について論じてみようと思います。これから学芸員資格講座の受講を検討される向きには有益なアドバイスも盛り込んでいくつもりです。
学外からの受講生だけで150名を超えるという本学芸員資格講座の盛況ぶりに正直驚かされました。登録博物館の学芸員ポストは狭き門で資格保有者だからといって直ちに仕事に就けるとは限らないからです。にもかかわらず、決して安くはない授業料を自弁して夏季講座に参加する受講生が多数いること自体、サプライズではありませんか。明確な目的意識(或いはキャリアプラン)を持った受講生は寧ろ少数派というのが学芸員資格講座の特徴と云えるかも知れません。
では<何故、今、学芸員資格講座なのか>、その答えは女性の参加者が多い点に看て取れそうです。早稲田の場合、学芸員資格講座を開講しているのは文学部なので資格講座への参加率も勢い女子学生が高くなるのは当然のことかも知れません。一般論として、男性よりも女性の方が潜在的に博物館や美術館に対する関心が高いことも資格講座へ興味をそそられ易い理由のひとつと考えられます。敢えてジェンダーバイアスを怖れずに云えば、学芸員という職種自体が観念上女性向きなのだということになります。博物館(博物館法上は美術館も博物館の範疇に入ります)に対する一般人の印象は静かに美しいものを鑑賞する場所といったところではないでしょうか。こうしたイメージが先行して女性を中心に学芸員志向が昂じているようにも思えます。
しかし、実際は対照的に博物館というのは極めて多忙な職場で、そこで働く学芸員は雑芸員と揶揄されるほど雑務に忙殺されているようです。博物館実習では仏像を運んだり刀剣や掛け軸を展示したりと身体を動かす場面が多かっことも事実です。従って、学芸員という仕事を鑑賞者側の視点で捉え職業として選択すると、とんでもないミスマッチを生じかねません。博物館実習を必修科目とする学芸員資格講座はその点シラバスも含めよく練られていて、学芸員という職業に対する甘美な幻想を払拭するに十分すぎる内容を併せ持っていました。講師の先生方も仰っていたとおり、学芸員資格講座が終わると、二度と穏やかな気持ちで作品と向き合うことが出来なくなりました。その理由を知りたい方は次回をお楽しみに。
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