Bunkamura『十二夜』の見所

ブロガーを松たか子ファンと知るOさんが現在渋谷シアターコクーンで上演中の『十二夜』のチケットを譲って下さったので15日のマチネを観てきました。シェークスピアのロマンティクコメディーとして知られる『十二夜(12th Night)』を串田和美さんが潤色・演出を手掛け、原作には登場しないシーンが数多く付け加えられている点が見所ではないでしょうか。勿論、お目当ての松たか子さん扮するヴァイオラとシザーリオによる終幕の兄妹再会シーンは期待を裏切りません。筋書きを知らないで観ると混乱しかねない終幕も、松さんの鮮やかな女と男の演じ分けのお蔭で観客は導かれるまま大団円に誘われます。

主役の松さんや公爵役の石丸幹二さんの演技の魅力もさることながら、今回の公演では舞台効果を高めるリュートアコーディオンの生演奏も見逃せません。リュート奏者のつのだたかしさんが奏でる物哀しい「シチリアーナ」の旋律に思わず聴き惚れてしまいました。圧巻は名バイプレーヤーの笹野高史さん扮する道化フェステが歌う「不条理な恋物語」、原作にはないシーン乍ら<賑やかな祭りのあと>の哀感が見事に表現されています。コメディなのに幕が下りるや切ない気持にさせられました。思うに任せぬ人生だけに知恵ある阿呆は阿呆な知恵者に勝るのでしょう。
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