「借りぐらしのアリエッティ」

2年ぶりのスタジオジブリ作品、前回の「崖の上のポニョ」が期待外れだっただけに今回も失望させられはしないかと少々不安げな気持ちで映画館に入場しました。しかし、そんな鑑賞前の懸念はすぐに払拭されました。監督は初抜擢の米林宏昌さん37歳、この夏、鑑賞前に、NHKが『ジブリ創作のヒミツ〜宮崎駿と新人監督の400日』と題した新監督の挑戦を追いかける番組を見ましたが、本作は素人目にも宮崎大監督の期待を裏切らない作品に仕上がったと映りました。ジブリ作品らしい美しい背景画に加え小人世界のミクロコスモスが実にリアルに再現されています。主人公アリエッティの声を務めた志田未来さんは翔役の神木隆之介君と共に初のアニメ声優役とは思えないパーフェクトな役作りを披露してくれました。小人世界から見た人間世界の縮尺に多少違和感を感じましたが僅疵と云っていいでしょう。宮崎監督のDNAがこんな形で次世代のアニメーターに次々と承継されていくことがファンの願いではないでしょうか。