伊藤若冲と石峰寺

このブログ・トップの「鷲図」は伊藤若冲最晩年の作品です。昨秋10月に東京国立博物館で開催された「皇室の名宝-日本美の華」において公開された「動植綵絵」三十幅は質量共に圧巻でした。ブロガーのお気に入りは「雪中鴛鴦図」です。若冲が好んで描いた鶏や小禽はさながらスーパー・リアリズムの極致と云っていいでしょう。若冲が稀代の画家と称賛されるのは、カメラアイに匹敵する観察眼に加え精緻な技法を兼ね備えていたからに他なりません。デジカメが当たり前の今こそ、裸眼で対象を凝視するという忘れかけた習慣を取り戻すべきでしょう。運動会で子供が疾走する姿をフィルターを通してしか見たことのないあなた、若冲を見習おうではありませんか。添付した写真は若冲が眠っている京都・石峯寺の「五百羅漢石像」のひとつです。風雨に耐えて丸みを帯びた輪郭に風格が感じられます。