インプラント手術体験記

3カ月に一度、掛かりつけの歯医者さんに通っています。「8020(ハチマルニイマル)運動」が厚労省から提唱されて久しいそうです。まったく知りませんでしたが、80歳になって自分の歯を20本以上残そうという趣旨だそうです。この運動に触発されたわけではありませんが、平素から歯のメンテは大切だという自覚はありました。歯医者通いは定期的なクリーニングが目的ですが、虫歯が見つかって並行して治療をお願いすることも屡々あります。今年になって、歯茎の腫れが酷くなり院長に相談したところ、インプラント手術を勧められ、悩んだ末に決断することにしました。

10年以上前に治療した第5小臼歯がとうとう寿命を迎え、保険診療を前提とした場合、選択肢はブリッジか入歯ということになるのだそうです。治療費は安くても今後のメンテナンスが気懸りです。提案されたのは保険外診療インプラント。院長から、立派な説明資料を手渡され、細かい説明を受けてみると、術前準備からずいぶん手間のかかる治療だということが分かりました。

歯科治療も知らない間にずいぶん進歩しているようです。レントゲンのほかにCTで口腔内の写真を撮られた上、デジカメでもパシャパシャと撮影されました。検査機器のクオリティが格段に向上し、術前検査も丁寧な印象を受けました。術前に2日かけて口腔内のクリーニングと消毒が行われました。

手術当日、要した時間はトータル2時間30分。ジスロマック(ファイザー社製)という抗生物質を服用し、痛み止めも嚥下した上で、数回に分けて麻酔をかけられました。説明はありませんでしたが、かかる抗生物質には歯周病菌を一気に撃退する強力な効き目があるようです。

麻酔のあと、手術部屋へ移動すると、早速、傷んだ歯をが小刻みに砕かれ破壊されていきます。この辺りは昔の抜歯のプロセスそのままです。麻酔のお蔭で痛くはありませんが、器械の音が不快に響きます。口にはフックがかけられ長時間の術中口はほぼ開いたままです。抜歯が済むと、いよいよインプラントに取り掛かります。直径4ミリ長さ10ミリのチタンの人工歯根(上記イラスト参照)がドリルのようなもの(音でしか判断しようがありません)で埋め込められていきます。同時に歯茎の腫れの原因である膿を吸引してもらいます。結果、歯茎が凹みますが、時間の経過と共に自分の骨と同化する人工骨を埋め込んでおいたと院長から補足説明がありました。喋れないので、唯々頷くしかありません。

術中、室温がかなり低いことに気づいて毛布をかけて貰いました。麻酔の効き目が落ちないように室温は22度前後に設定してあるそうです。道理で寒いはずです。ようやく長い長い手術が済んで、帰りに3日分のジスロマックとロキソプロフェン錠を9回分処方して頂きました。後者は炎症や痛みを鎮める鎮痛剤でした。手術当日は、入浴不可、運動も控えるようにと指示がありました。食事も当分柔らかいものを中心にということです。都合、歯科医師と歯科衛生士がふたりづつ、計4名が手術に携わってくれました。

今週は抜糸で再び歯医者さんを訪れ、数か月後には現在の仮歯がセラミックの歯に取り換えてもらえるようです。費用は・・・・かなりお高いです。治療費の半額程度を現金で支払い、残りは治療が済んで精算ということになっています。手術とはいいながら、少し長い歯科治療という印象のインプラント手術から、やれやれようやく解放されました。