映画

映画『エヴェレスト 神々の山嶺』で気になったこと

米国便や欧州便ともなると飛行時間は優に12時間を超えるので、機内でなかなか眠れない搭乗者にとってオンデマンドで好きな時に楽しめる映画プログラムは大変有り難いサービスです。1〜2本観てからアルコールを注文し、ほろ酔い気分で再び数本映画鑑賞すると…

”The Monuments Men"の日本公開に寄せて

2014年に米国で製作された映画”The Monuments Men”(日本語タイトルは「ミケランジュロ・プロジェクト」)の本邦劇場公開が中止になって2年、このたびWOWOWでリリースされたのでじっくり自宅鑑賞したところです。昨年秋、一部の劇場でようやく上映されDVDも…

美術ファン必見の「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

巨匠フレデリック・ワイズマン監督の映画「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」を、最近、WOWOWオンラインで視聴することができました。昨年1月、Bunkamuraル・シネマで上映されたとき見逃してしまったのでいい機会でした。 この映画は、観客が普段窺い知る…

冷戦下の実話に基づいた傑作「ブリッジ・オブ・スパイ」

昨年11月に放映されたNHKスペシャル「盗まれた最高機密〜原爆・スパイ戦の真実〜」は、太平洋戦争末期の原爆開発をめぐって繰り広げられた米独ソ諜報戦の知られざる実情を明らかにしてみせました。未だその記憶が覚めないこの時期に、スピルバーグ監督の新作…

ヘレン・ミレン主演「黄金のアデーレ」

大晦日に観た映画「黄金のアデーレ」の感想を記しておこうと思っているうちに、1月3日を迎えてしまいました。2015年は総じて不本意な1年でしたので、申年の今年こそ充実した1年にしたいと思っています。大晦日に映画を観たのは初めての体験。都内上映館がわ…

創造と神秘のサグラダ・ファミリア@恵比寿ガーデンシネマ

記憶にないくらい久しぶりに恵比寿ガーデンシネマを訪れました。今年3月、4年ぶりに復活したのだそうです。吉祥寺のバウハウスシアターといい、都内でもミニシアターはなくなる一方ですから、映画ファンには待望のリニューアルオープンといっていいでしょう…

映画「杉原千畝」〜インテリジェンス・オフィサーの知られざる横顔〜

10年ぶりのスター・ウォーズ新作「フォースの覚醒」を横目に、5日に封切された「杉原千畝」をようやく観ることが出来ました。身辺大掃除の合間を縫っての鑑賞でした・・・。リトアニア領事代理杉原千畝の名前を知ったのは1993年当時だったと記憶しています。…

ついに映画化された『リトル・プリンス 星の王子さまと私』を観て

21日に封切されたばかりの「リトルプリンス」を早速観てきました。『星の王子さま』の愛読者としては、観ないわけにはいきませんからね。これまでにアニメ界の巨人ディズニーが映画化していても決して不思議ではないわけですが(注:オーソン・ウェルズがデ…

「マイ・インターン」初日(一部ネタバレあり)

ロバート・デ・ニーロがアン・ハサウェイと共演すると知って、初日に映画館に足を運びました。華やかなファッション業界を舞台に、72歳になる名優演じるシニア・インターンと「プラダを着た悪魔」で一躍有名になった32歳のアン演じる若き起業家が、様々な難…

1967年版「日本のいちばん長い日」に軍配

終戦記念日の昨日、NHK BSプレミアムで放映された岡本喜八監督の映画「日本のいちばん長い日」を観ました。先週、原田眞人監督による2015年版を観たばかりなので、細部を比較鑑賞できました。総じて、1967年版の出来栄えの方が優れていると感じました。旧作…

「日本のいちばん長い日」は短かすぎる!

封切直後に「日本のいちばん長い日」を観ました。高齢者しかいないかと思いきや、劇場は終日満席で吃驚、自分の両隣は若いカップルでした。並行して、ミッション・インポッシブルやジュラシック・ワールドという豪華大作が掛かっていながら、終戦を扱った邦…

「トラ・トラ・トラ!」の日本公開版初DVD化

KADOKAWAが終戦70年特別企画と称して第二次世界大戦映画DVDコレクションの発売を開始しました。創刊号は真珠湾攻撃を描いた不朽の名作「トラ・トラ・トラ!」(1970年9月日本公開)だったので、思わず購入してしまいました。小学生の頃、師走になると決まっ…

「おみおくりの作法」(原題"Still Life")を観て

昨日は、東京都観光ボランティアの全体研修会に出席した足でシネスイッチ銀座へ。正午過ぎから冷たい雨が降りだして、普段は賑わう銀座4丁目周辺も人影がまばらでした。うってつけの映画日和とばかり映画館受付へ急ぐと、目に飛び込んできたのは入口に蝟集す…

沢木耕太郎さんの「風立ちぬ」評

朝日夕刊に連載中の「銀の街から」で「風立ちぬ」が大きく取り上げられていました。映画通の沢木耕太郎さんの評価だけに気になるところです。封切り直後の先月、当ブログでは、宮崎駿最後の作品にしては<がっかり>と書きました。9/15に放映された「プロフ…

「風立ちぬ」の辛口評価

昨夜、新宿ピカデリーで宮崎駿の5年ぶりの新作「風立ちぬ」を観てきました。19時過ぎからの上映にもかかわらずほぼ満席。若いカップルも目立ち、ジブリ人気は依然衰えを知らないようです。ポニョ前後から期待外れ続きだっただけに、零戦設計技師堀越二郎氏を…

「アルゴ」の粗さがし(ネタバレあり)

アカデミー賞三部門の受賞が決まり、「アルゴ」の上映館はどこも盛況のようです。今週、やっと作品を観ることができました。前評判どおりのスリリングな展開で、冒頭からエンドロールまで息つく間もありませんでした。1979年11月にイラン・アメリカ大使館で…

シニア世代にお薦めしたい「キリマンジャロの雪」

岩波ホールで封切られたばかりの「キリマンジャロの雪」を観てきました。たとえ商業ベースには乗らなくても上質な映画を配給したいという岩波ホールらしい選択の映画でした。監督は「マルセイユの恋」のロベール・ゲディギャン、ヴィクトル・ユーゴの詩篇『…

映画「マネーボール」の痛快

このほど米経済誌「フォーブズ」が算出した大リーグ30球団の資産価値ランキングを見て、NYヤンキースの圧倒的な資金力を改めて思い知らされました。2位のドジャーズを大きく引き離してヤンキースの資産額は18億5千万ドル(邦貨換算:1500億)、道理でメジャ…

『日輪の遺産』が託した戦後

今年で開戦70年、NHKが数少なくなった戦争経験者の証言を集めて記録し戦争アーカイブとして保存しようとしています。12月からNHKスペシャルとして放映された数々の戦争証言は、有史以来もっとも平和な時代を生きる我々には到底想像の及ばない戦場の記憶を甦…

ドイツ映画「ミケランジュロの暗号」

今風に云うとドイツ映画は微妙ということになるのではないでしょうか。映画ファンを任じている人でもドイツ映画の代表作となるとすらすらとは答えられないはずです。自分の頭に浮かんだのは「ブリキの太鼓」(Die Brechtrommel)と「U・ボート」(Das Boot)く…

「キャタピラー」が伝えたかったこと

昨年の公開時に見逃した「キャタピラー」、やっと向かい合うことが出来ました。若松監督の前作「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」が余りにも重く衝撃的な内容だっただけに、「キャタピラー」も襟を正して観ることにしました。冒頭から正視に堪えない場面…

サイパン島玉砕の果てに

先週、地方都市に出掛けた折に空き時間が出来たので『太平洋の奇跡〜フォックスと呼ばれた男〜』を観てきました。朝一番の上映に限り入館料は1200円と聞いてニンマリ、おまけに観客もまばらでゆったりと鑑賞することが出来ました。映画の主人公は実在の軍人…

忠臣蔵ミステリー

18日に封切られたばかりの『最後の忠臣蔵』を観てきました。江戸城松の廊下で起きた浅野長矩の刃傷沙汰に始まり四十七士による吉良邸討ち入りで大団円を迎えるのが巷間知られた忠臣蔵だとすれば、『最後の忠臣蔵』は吉良邸討入り後からストーリーが展開して…

"Knight & Day"はラブロマンス

前作『私の中のあなた』でサラ役を演じたキャメロン・ディアスが、本作(邦題は『ナイト&デイ』)ではロイ(トム・クルーズ)と名乗る正体不明の男に翻弄されながらも次第に惹かれていくというジューン・ハヴンス役を好演しています。前作ではノーメイクの…

『ベスト・キッド』は映画の原点

今年一押しの映画になるかも知れません。この数年の制作映画を振り返ると、観ていて心がヒリヒリするような作品(例えば2007年『実録:連合赤軍あさま山荘への道程』や2008年『チェンジリング』)に押し潰されそうになった記憶の方が圧倒的に鮮明です。もう…

『悪人』を観て思うこと

「最愛の人が奪われたとき、あなたはどうしますか?」と問い尋ねた映画(東野圭吾原作)『さまよう刃』のシーンが幾度となく脳裏をフラッシュバックしました。モントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞した光代役の深津絵里さんの演技は掛け値なく素晴らし…

「借りぐらしのアリエッティ」

2年ぶりのスタジオジブリ作品、前回の「崖の上のポニョ」が期待外れだっただけに今回も失望させられはしないかと少々不安げな気持ちで映画館に入場しました。しかし、そんな鑑賞前の懸念はすぐに払拭されました。監督は初抜擢の米林宏昌さん37歳、この夏、鑑…