休日のひとときはスタバの木造店舗で過ごしたい~『西東京新町店』を訪れて~

スターバックスコーヒージャパン株式会社のHPによれば、店舗総数は1628(2020年12月末現在)。なかでも店舗数が最も多い地域は東京都で366店舗(2020年7月16日現在)、国内店舗の1/4が都内に存在する計算になります。自宅から徒歩圏内にあるスタバは7店舗(うち6店舗は吉祥寺駅周辺に集中)、いずれも、時間帯に関わらず大混雑で席を確保するは容易ではありません。人の出入りが激しいせいか、店舗によっては清掃が行き届いていない印象があったりして、勢い、利用機会は減る一方です。

ところが、最近、訪れたロードサイド店『西東京新町店』(東京都西東京市新町5-19-10)は、スタバらしからぬ木造店舗で周辺の自然環境に溶け込んだ実にスタイリッシュな店舗でした。ドラマのロケ地になったこともある「珈琲館 くすの樹」(2019年4月閉店)の跡地に出来た新店舗の一角には、樹齢250年のシンボルツリーくすのきが健在でした。旧店舗の丸太材も内装で再利用されていました。自分も含め旧店舗を知るお客さんにとって、懐かしい記憶を呼び覚ます空間でもあります。外観の大屋根といい、内装にふんだんに使われた天然木材といい、一般的なスタバ店舗とは一線を画した温かみのある雰囲気にすっかり魅了されてしまいました。夕方だったせいでしょうか、珍しく空席があってすぐ腰を下ろすことができました。席の争奪戦は必至でしょうが、どうせなら、休日は温かみのあるこんな木造店舗で寛ぎたいものです。駐車場にはたまたまローバーミニが2台、お似合いでした。

屋内に、道路を挟んで玉川上水を眺められるひとり掛けの席が4つ、屋外にはテラス席が4つ用意されています。新緑の季節、ヒバの樹を囲むように設けられた屋外のテラス席は極上の空間ではないでしょうか。

スタバは二酸化炭素排出の少ない木造店舗をすでに幾つか出店しているのだそうです(写真はスタバHPより拝借しました)。環境負荷を軽減するこうした取り組みは大歓迎です。

猿翁十種の内『小鍛冶』(2021年四月大歌舞伎)~初役に挑んだ猿之助X中車~

四月大歌舞伎第一部の演目は『小鍛冶』と『勧進帳歌舞伎十八番のうち)』でした。『勧進帳』は言わずと知れた「歌舞伎十八番」、天保年間に七代目市川團十郎(1791-1859)が市川宗家お家芸として選定したものです。『勧進帳』は能『安宅』に材を得て作られたものですが、「歌舞伎十八番」が発表された時点では演目名が決まっていただけで初演は8年後でした。それが今や、安宅の関をもじって「またかの関」と呼ばれるくらい頻繁に上演される超人気演目になっているのです。

一方、『小鍛冶』には「猿翁十種の内」と添え書きがあります。「猿翁十種」は、二代目猿翁が澤瀉屋お家芸として制定したものです。「歌舞伎十八番」に比べると「猿翁十種」の上演機会は圧倒的に少ないので、演目を知悉している方は相当な通に違いありません。自分が初めて観た演目は『黒塚』で2019年4月のことでした。「安達原の鬼婆」伝説をモチーフにした舞踊劇で、当代猿之助さんの妖艶な舞踊は今も強く印象に残っています。

そして、今回、猿之助さんと中車さんが共に初役で挑んだ演目が『小鍛冶』です。24年ぶりの上演だそうです。平安時代に実在した名刀匠が銘刀「小狐丸」を打ったという伝説が基になっています。猿之助さんは童子実は稲荷明神(歌舞伎座右手にもお稲荷さんが鎮座しています)という二役を演じ、勅命で御剣を献上することになった三條小鍛冶宗近を中車さんが演じます。「相槌を打つ」という言葉の語源は、刀匠と向こう槌(「むこうづち」は一番腕が立つ弟子が務めます)が折り返し鋼を鍛錬する作業に由来します。文字通り、相槌を打つが如、宗近演じる中車さんと向こう槌を務める稲荷明神(猿之助)の息の合った軽快でリズミカルな鍛冶風景が『小鍛冶』の見どころのひとつです。テレビドラマで見せる余裕たっぷりの表情とは凡そ対照的に、終始、神妙な面持ちで初役に挑んだ中車さんも好演でした。相当な覚悟で梨園入りした中車さんの9年間の精進が凝縮された舞台だったと思います。

50分足らずの演目ながら、舞台は都合三転。バックは全山紅葉に染まる秋の風景、手前の積み藁から突如猿之助さん演じる童子が現れ、舞台狭しと跳び撥ねやがて下手へ消えていきます。狐のオブジェを冠した稲荷明神の隈取はどこかユーモラスで、役柄からか、随所に猿之助さんらしいサービス精神が横溢していました。『小鍛冶』は、澤瀉屋の自由闊達な芸風が余すところなく表現された名作だと思いました。

円熟期を迎えつつある猿之助さんと従兄にあたる中車さんの今後の活躍に目が離せません。

「応援馬券」を買ったソダシが2021年桜花賞を制覇~伝説の白毛馬になるのか!~

2021年G1レース4戦目は桜花賞阪神競馬場芝1600m)。昨年、阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)制覇以来、俄然、気になる存在となった白毛馬ソダシを応援しようと、WINS銀座で「応援馬券」を購入しました。

応援馬券」は単勝式と複勝式の馬券をセットで同額購入できるという便利な馬券で、上の写真のように「馬名」と「がんばれ」の文字が印字されています。難点はネット購入できないこと。コロナ禍でWINSは出走1時間30分以上前の14時に早々と店仕舞いしてしまいますので要注意です。

競走馬の毛色は8種類、中央競馬に登録されている約8500頭のなかで白毛はわずか7頭に過ぎません。ソダシの場合、祖母にあたるシラユキヒメが突然変異によって白毛馬となり、その血統を母ブチコを介して遺伝で受け継いだようです。世界的に見ても極めて稀少な白毛サラブレッドでかつ優勝を争う素質の持ち主となれば、「応援馬券」を買って声援を送りたくなろうというものです。

蓋を開けてみれば、大外から猛追した1番人気サトノレイナスルメール騎手)をクビの差でかわして、ソダシが1分31秒1のレコードで見事な勝利をもぎ取りました。白毛馬のクラシック制覇は史上初の快挙だそうです。サンスクリット語で「純粋・輝き」を意味するソダシは、文字通り、純白の輝きを放ちながら一気に阪神競馬場を疾走したのでした。競走馬の中で最も多い毛色は鹿毛(かげ)。被毛は濃い茶色ですから、出走馬18頭が一斉に走り出せば、唯一の白毛馬ソダシは否が応でも目立ちます。美しい肢体に極上の走りと来れば、注目度が集まるのも無理からぬこと。

2021年の競馬界はソダシが席巻する予感がしてなりません。

白川義員写真展第一期「永遠の日本」展~日本の風景を再発見する~

会期末を翌日に控えた4月3日(土)、風景写真の第一人者白川義員の写真展(第一期)@東京都写真美術館(恵比寿)に飛び込みました。今年2月の舟越圭展のときも会期末直前の鑑賞でした。会場は入場制限中でかなり混雑していました。コロナ禍の入場制限も考慮して、第二期「天地創造」(4/6~5/9)は会期前半に訪れようと思っています。

第一期「永遠の日本」展を見逃していたら確実に後悔していました。4部構成で、第1部「名山・名瀑」から、第2部「湖沼・森林・渓谷」、第3部「高原・湿原」、第4部「海浜島嶼」という流れになります。キャプションには詳しい解説に加えプロカメラマンが大抵明かさない撮影日時が記載されています。近年、気候変動が著しいので常に有益情報とは限りませんが、撮影スポットや日時はマチュアカメラマンにとって貴重な情報源です。

日の出や日没時の神々しいまでの刹那にこだわった写真の数々に唯々圧倒されました。「大自然の色彩の変幻を眺めるのは人生最高の悦楽だ」という白川氏の言葉に深く頷かされます。奇跡の瞬間はこれだけではありません。遠景に岩木山を配した《白神山地岩木山》のような紅葉写真もまた違った意味で奇跡の刹那なのだと思い知らされました。燃え上がるような数々の紅葉写真に混じって、唯一、緑したたる夏を切り取った《弥陀ヶ原と月山》は却って新鮮に映りました。

「真っ赤に色づく日本の紅葉はとにかく凄い」と白川氏は言います。コロナ禍で渡航できないことをずっと恨めしく思っていましたが、ローレンシャン高原の紅葉を見る前に未だ見ぬ自国の絶景を尋ねようと強く思い直しました。

特に印象に残った写真は、機上から撮影した残雪の《浅間山》と縦横にけもの道が走る《尾瀬ヶ原鳥瞰》の2点。登ったりトレッキングしたスポットだけに見た瞬間に心惹かれます。大自然と対峙したときの記憶を刺激するセンサーを白川氏は心得ているのでしょう。

図録に代わる写真集が販売されています。写真をもう一度じっくり見たい方は売店で『[永遠の日本]白川義員写真集』(税込2000円・平成24年12月27日初版発行)をお買い求め下さい。

白川義員作品集 永遠の日本

白川義員作品集 永遠の日本

GLA35納車ブログ~初乗りや如何に?~

2021年4月最初の大安吉日、GLA35 4MATICが納車となりました。セダンからSUVへの乗り換えを検討し始めたのが2019年、その間、一時借用したGLC250 4MATICで遠征したり、Mercedes me TokyoでトライアルクルーズしたりとSUVの乗り心地を試してきました。そして、2020年6月、GLA2代目と初代GLBがリリースされ俄然モチベーションが昂まることに。それからまもなく、2020年10月、2021年1月にぞれぞれハイパフォーマンスエンジン搭載のAMGモデルが投入され、一気に選択肢が拡がりました。本格的オフローダーのGLB35か都市型SUVのGLA35でずいぶん悩みましたが、世界的な車載半導体不足で納車時期が不透明なことを考慮して、ディーラーが確保している初期ロットのGLA35(ポーラーホワイト)を購入することにした次第です。

ディラーに手放すことになったCクラス(2014年モデルAMGライン)を持ち込むと、いつの間にか、担当のO氏が新旧車両を横並びにしてくれていました。お気遣いにはひたすら感謝です。記念写真を撮って、6年強、お世話になった愛車に別れを告げました。納車祝いにお花まで頂戴し、記念すべき1日に文字通り花を添えてくれました。

懸念していたランニングチェンジは杞憂に終わりました。確認箇所は以下のとおりです。AMGモデルなのでキャリパーロゴやドリルドは当然変更はありません。

・サングラスホルダー(あり)
・後部座席蓋つきUSB2つ(あり)
・助手席側ネット収納(あり)
・サイドミラー下ウエルカムランプ(あり)
・ドアハンドル下部照明(なし)
・キャリパーロゴ(あり)
・ドリルドディスクブレーキ(あり)

運転席の景色は様変わり。伝統的な丸型メーターは2つのワイドディスプレイに変貌し、デジタル化に伴う操作要領は複雑化する一方です。1時間ほどO氏からレクチャーを受けましたが、到底覚え切れるものではありません。気がつけばお昼どき、最初の目的地明治神宮に交通安全祈願に向かいました。MBUX(Mercedes Benz User Experience)と呼ばれるインフォティンメントシステムを使えば、音声で目的地を認識してくれます。車内の温度設定変更やアンビエントライトの色調変更なども同様です。iPhoneのSiriのように対話を通じて各種情報を引き出すこともできます(例:外気温や最寄りのガソリンスタンドなど)。まだまだ発展途上の機能ですから、これからの進化に期待することにしましょう。

肝心の走りは、コンフォートを選択しても、Cクラスに比べてかなり堅い印象。Cクラスに比べ、ホイールベースが111cm短くなって、路面の起伏が短いインターバルで伝わってきます。AMGらしい鍛えられた足回り(306ps/400N・m)は、高速道路走行で真価を発揮してくれるのでしょう。レスポンスは軽快なので発進時のアクセルの踏み込みは控え目が良さそうです。インテリアについては、AMGパフォーマンスパッケージに含まれるヘッドレスト一体型シートとステアリングがスポーティな印象を倍加してくれます。

明治神宮で交通安全のお守りを授かり、付属のステッカーは後部左下に貼りました。輸入車向けに"Road Traffic Safety by Meiji-jingu Shrine"とアルファベット表記されたステッカーを切望します(笑)。

2021年WEB観桜会~青山霊園・千鳥ヶ淵・井の頭恩賜公園~

2021年3月22日、東京都心では歴代2番目の早さで桜が満開になりました。靖国神社にあるソメイヨシノの標本木が8割以上開花すれば、満開と認められるのだそうです。

24日夕方、仕事を早めに切り上げ、青山霊園の東西・南北に伸びる桜並木を皮切りに桜の名所を駆け足で回りました。青山霊園の桜並木の見頃はもう少し先のようでした。霊園内にはソメイヨシノシダレザクラなど約320本の桜があって、日当たりのいい場所にある桜は見頃を迎えていました。近い将来、春のお彼岸に桜が満開という年が訪れるのかも知れません。

都心で桜と言えば千鳥ヶ淵北の丸公園第2駐車場に車を停めて、日本武道館経由田安門まで歩を進めると、桜をバックに記念撮影をする袴姿の女学生やその家族を大勢見かけました。靖国通りに面した歩道は以前より拡張整備され、歩きやすくなったような印象を受けました。

九段坂をお濠沿いに左手に曲がれば、千鳥ヶ淵戦没者墓苑までの700mが「千鳥ヶ淵緑道」と呼ばれる遊歩道です。こちらはコロナに関わらず宴会禁止ですから、静かに桜を愛でることができます。約260本の桜の木が植えられているそうですが桜は見事なまでに満開。対岸の堤の緑、水面に浮かぶボート、手前の山野草、すべてが絵になります。夕暮れ迫る千鳥ヶ淵の写真をどうぞご賞味下さい。

最後はご近所井の頭恩賜公園の桜と玉川上水沿いの車道にある見事な1本桜です。井の頭恩賜公園は都立公園ですから、去年に続きライトアップはありません。来年こそ、夜桜を楽しめますように。

『お金の大学』に書き切れていないこと~フィナンシャルリテラシー獲得をめざして~

メルカリで買ったという『お金の大学』(定価1400円+税)と題する本を息子から手渡されました。投資銀行員だった父親の感想を聞きたいようです。著者である両@リベラルアーツ大学学長氏は、高校在学中に起業、20年以上にわたって本業(?)で稼ぎながらリべ大を運営、SNSで熱狂的に支持されているようです。カラフルでイラスト付きの本書は、若い世代には格好のマネーテキストかも知れません。一番感心したのは、人生で最も高価な買い物のひとつ、車や家のリセールバリューに言及していることでした。蛇足になりますが、ベストセラーやハウツー本の類いはメルカリやブックオフで安く買うのが鉄則。息子はひとつ課題クリアしたことになります。

本書は、「生活費<資産所得」という状態を<経済的自由>と定義し、想定読者であるサラリーマンやOLに対して、資産所得(配当&利子所得や不動産所得)や事業所得の獲得をめざせと説いています。前者は昔から存在する伝統的な資産運用による所得、後者は所謂副業に相当します。IT革命によって、ネット環境を縦横に駆使したサイドビジネスには無限の可能性がもたらされ、得意分野で本業以外の収入源を確立することは、間違いなく<経済的自由>獲得への大いなる橋頭保となるでしょう。この場合、<経済的自由>というより<経済的自立>と呼んだ方が適切な気がします。かつて、moonlight jobと揶揄された副業は今や本業に迫る勢いなのです。最近は、日本でも”FIRE”(Financial Independence, Retire Early=経済的に自立した早期退職)が盛んに叫ばれるようになり、米国のようにセミリタイアの目安となる「年間支出の25倍の資産」構築に励む人も着実に増えているような気がします。

その昔、日本人の大半はお金のことについて語ることをはしたないと思っていたはずです。今もかかる風潮がないとは言い切れません。しかし、究極の文明の利器iPhoneや情報収集に欠かせないネット環境を自宅で調えるのに先立つものはお金です。真面目にお金のことを考えることは、21世紀を生きる上で是非とも習慣化したい事柄のひとつだと思うのです。

『お金の大学』でことさら強調していない点や書き切れていない点を補足しておきたいと思います。ビジネスマンの父から息子への10通のショートメッセージだと思ってもらって構いません。

1)「本業はかけがえのない大切なものだと思え」~自分というアセットで稼げる資本要らずの収入源だという認識を持とう~

2)「身体が資本」~本業を継続するために欠かせないものは肉体的・精神的健康です~

3)「お金を増やすことを自己目的化しない」~貯蓄と消費のバランスが大切です~

4)「不労所得とは働かずに得られたお金のことではない」~絶えず社会経済情勢に関する情報収集を怠るな~

5)「予実管理の徹底」~予算と実績をエクセルなので月次管理すべし~

6)「自分の得意分野で副業の可能性を探る」~好きこそものの上手なれ~

7)「少子高齢化が社会に及ぼす影響を常に考える習慣を身につける」~自分なりの未来予想図を描いてみることです~

8)「ブラックスワンは一定の周期で必ず訪れる」~想定外の事態が襲来することを忘れないことです~

9)「人生にとって一番高価な買物は<伴侶>、<家>、<車>の順だと心得よ」~買う前に熟慮が必要です~

10)「安物買いの銭失い」(”Penny wise, and pound foolish”)~長く使えるものにこそ愛着が宿る~

11)番外篇「日本は金利を喪失した国だと心得よ」~金利では暮らせない~